令和8年度 第6回環境プラスチック研究会を下記のとおり開催します。
本研究会は環境中に広がったプラスチックに関する研究についての情報交換を目的としたもので、学内外の研究者や学生を主な対象としております。土壌や河川、海洋などの環境中のプラスチックだけでなく、プラスチック廃棄物やバイオプラスチック生成などの分野の方、地球科学に興味のある方や高分子科学・環境毒性学からのアプローチに加えて、社会科学的観点から見た環境問題にも興味を持つ研究者など幅広い分野からの参加をお待ちしています。もちろん、興味があるだけ、話を聴きたいだけの方も歓迎します。ぜひお気軽にお立ち寄りください。なお、この活動は、環境プラスチック汚染解決を目指した研究・開発の社会実装を目指したSIF(Social Impact Framework)であるEnvironmental Plastics Research Complex (EPReC)の活動の一環として行なっております。
<プログラム>
15:00~16:00
講師:堤 康央 先生 (大阪大学 大学院薬学研究科 教授(栄誉教授))
演題:マイクロ・ナノプラスチックの標準サンプルの整備と生体影響評価
要旨:
周知のように、ヒトは5 mm以下のマイクロプラスチック(Microplastics;MPs)に加え、より小さなナノプラスチック(1 µm以下:Nanoplastics;NPs)への曝露を避け得ず、事実、肺や胎盤、血液といった様々なヒト組織からMPs・NPs(MNPs)が相次いで検出されている。また、認知症患者の脳内ではMNPsの蓄積量が特に多いことや、頸動脈プラーク中のMNPsの蓄積と心血管イベントとの間に関連があることなど、多くの疫学研究によってMNPsとヒト疾患との関連が示唆されつつある。そのため近年、MNPsのヒト健康影響がグローバルに懸念されているものの、曝露実態(動態)とハザードの積算で把握できる「MNPsのヒト健康リスク」は未だ不明である。一方で環境中のMNPsの存在様式は、多種のポリマー素材(種類・分岐度)から成るだけでなく、形状やサイズ、表⾯性状(酸化劣化度)、弾性などの物性も多様である。しかしながらリスクの理解に向けた研究室レベルでのADMET研究(動態毒性研究)では、多くの場合、球状で表面が滑らかなポリスチレン粒子を実験に供するなど、単⼀規格のMNPsを⽤いた検討であり、実環境と大きく乖離してしまっている。以上の背景から我々は、環境中の複雑な存在様式(種類・物性)を反映したMNPsの標準サンプルを整備し、経⼝・吸⼊曝露後の動態(ADME)を解析すると共に、MNPsの各種ハザード試験(T)を実施している。本発表では、まだまだ緒についたばかりではあるものの、最新の知見を紹介させて頂き、各方面の皆さまからご指導賜りたい。
16:00~16:30
自由討論
<世話人>
磯辺篤彦 応用力学研究所 教授(環境・食料ユニットサブリーダー)
高原淳 九州大学 名誉教授
大嶋雄治 世界海洋プラスチックプランニングセンター センター長
岡﨑裕典 理学研究院 教授
倉田哲也 未来社会デザイン統括本部 環境・食料ユニット 学術推進専門員