令和6年度に未来社会デザイン統括本部から海外渡航支援を受けた本学学生(環境・食料ユニット構成研究室)の活動報告を掲載します。
海外の研究者との交流を通じ、今後のキャリア形成においても有意義な、多くの収穫があった海外研修となったようです。
環境・食料ユニット 食科学研究グループ
学生活動支援―海外研修成果報告書
「Canada―AAFCでの研究活動を通じて」
生物資源環境科学府 生命機能科学専攻
食品分析学研究室 博士後期課程2年
中村紗彩
具体的な活動内容
2023年9月末より、カナダ中東部オンタリオ州トロントから西へ約 1 時間程度のゲルフに位置する、カナダ政府のAgriculture and Agri-Food Canada(AAFC)の研究機関であるGuelph Research and Development Centre(GRDC)において外国人研究員として研究留学を開始し、2024年月7月初旬に留学を終え、日本に帰国した。
2024年4月28日から5月1日にかけては、カナダのMontreal(ケベック州)で開催されたAmerican Oil Chemist’s Society(アメリカ油化学会;AOCS)の年次会議に参加した。AOCSは2009年で100周年を迎えた、歴史のある学会である。昨年9月にも国際会議(3rd International Symposium on Bioactive Peptides;ISBP)に参加したが、その時とは異なる非常に大規模の学会で、連日活気溢れる学会であった。油化学会ということもあり、脂肪、油、界面活性剤などに関する、分析手法・製造・生物工学・健康などが主なトピックであるが、副産物のタンパク質(ペプチド)についても活発な討論が行われていた。今回の会議では、自身の発表は叶わず参加のみであったが、自身の研究にも通ずる“ペプチド”に関する最新の知見を得ることができた。また、“油”という枠組みの中ではあるが、多様な分野の研究を知り、理解を深めると共に、複眼的視野を養う機会になったと考える。
受け入れ研究先であるAAFC―Guelph Research and Development Centre(GRDC)のCao博士の研究室では、昨年度に引き続き未利用資源の有効活用を目指した研究を遂行した。原理は理解していても今まで使用経験のない技術や機械を使った実験をする機会もあり、大変学びが多い有意義な研究生活であったと思う。私が行っていたテーマについては、テクニカルスタッフの方々の協力もあり、ほとんどの分析・解析を終え、論文を執筆できる段階にある。今後は、今回得られたデータについて論文を執筆し、GRDCとの共同研究成果として国際誌に投稿する予定である。
・活動を経て学んだことや成果、感想、今後の展望等
2023年度の活動報告書にも記載したが、本活動を通じて得た一番の収穫は「国際的な研究ネットワークの構築」にあると考える。それを実感できたのが、AOCSに参加した際である。AOCSのペプチドに関するシンポジウムで、昨年度9月に参加した国際会議ISBPで交流した先生方数名と再会し、お話する機会があった。世界で活躍される著名な先生方に覚えて頂いており、国際ネットワークが少しずつ築けつつあることを実感することができた。日常の研究活動においては、拙い英語ながらも自分の考えについて臆することなく伝える努力に励み、研究議論や新たな知識・技術習得に努めてきた。留学中には成長を実感することはできなかったが、日本に帰国後に所属研究室の留学生との研究議論や日常会話において英語で会話することに困難を感じることが少なくなり、発音を褒めてもらえることも増え、英語力の向上を実感することができた。また、異国の地ではあるが大学ではなく、公的研究機関で約9ヶ月もの間、研究をさせていただいたこの経験は、自身の今後のキャリア形成について考える良い契機になった。
研究活動以外にも、2024年4月8日にカナダーオンタリオ州南で観測された皆既日食を実際に観察したり、ゲルフでは観測が難しいと思われていたオーロラに遭遇するなど、日本とは異なるカナダの自然を感じる機会にも恵まれた。
この留学を通じて得た知識や経験を糧に、世界を舞台に活躍し、世界に伍した研究を遂行できる女性研究者を目指していく。
最後になりますが、この約9ヶ月間は身も心も、そして英語力も成長できた大変貴重な経験となりました。私の留学先であるAAFC―GRDCのCao Rong博士ならびにGRDCのスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。また、この円安の大変厳しい時期に九州大学未来社会デザイン統括本部から海外渡航に関しまして多大なるご支援賜りましたこと、心より感謝申し上げます。