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遠隔医療技術を活用し、紛争下のスーダンで妊婦健診の実証を開始 ~ポータブル・ヘルス・クリニック(PHC)が母子保健サービスの再開に貢献~

九州大学グローバル・ヘルスケア・チームと認定NPO法人ロシナンテスは、スーダンにおいてポータブル・ヘルス・クリニック(Portable Health Clinic: PHC)システムによる妊婦健診を実施しています。PHCとは、医療サービスへのアクセスが困難な地域において、ICTと遠隔医療を活用し、現地での基本的な検査、健康状態の把握、必要に応じた医療相談や紹介を可能にするポータブル型のクリニックシステムです。

九州大学グローバル・ヘルスケア・チームは、PHCを中心に研究・実装に取り組んでおり、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構(Q-AOS:キューエイオス)ではPHCモジュールとして活動しています。九州大学大学院医学研究院の中島直樹教授(未来社会デザイン統括本部 医療・健康ユニット 医療情報グループリーダー)が代表を務め、同研究院の諸隈誠一教授が母子保健・産科領域を担当、データ駆動イノベーション推進本部のイスラム・ラフィクル特任教授、Q-AOSの菊地君与教授が国際連携を担当しております。また、認定NPO法人ロシナンテスは、九州大学の客員教授でもある川原尚行氏が理事長を務めています。

本活動では、血圧、ヘモグロビン値、血糖値、尿検査、超音波検査等を実施し、妊婦の健康状態を把握するとともに、遠隔医療相談や紹介につなげました。

スーダンでは、紛争の長期化により保健医療サービスへのアクセスが制限され、国内避難民やホストコミュニティの妊婦が継続的な母子保健サービスを受けにくい状況が続いています。このような状況を受け、昨年のアフリカ開発会議(TICAD)において、九州大学総長と駐日スーダン大使との間で、スーダンにおけるPHC開始に関する覚書が締結されました。これを背景に、実施にあたっては、日本政府から国連人口基金(UNFPA)に供与された資金を活用し、スーダン保健省、UNFPA、現地NGOのSFPA、バングラデシュのグラミン・コミュニケーションズとの連携により、PHCを活用した妊婦健診サービスの提供を支援しました。

2026年1月には、現地医療従事者を対象にPHC実施に関する研修を行いました。続いて、2月から4月にかけて、アルアマン女性開発センター、ダール・アルナイーム女性開発センター、アルワフダ女性開発センターにおいてモバイルクリニックを計25回実施し、妊婦健診サービスを提供しました。主な実績は以下のとおりです(のべ数):妊婦健診受診者:372名、上位医療機関に紹介:23件、遠隔医療相談数:19件、処方箋発行:239件。

今回のPHCの実施により、紛争の影響を受ける地域においても妊婦健診の機会を確保し、母子保健サービスの継続的な提供を支えられる可能性が示されました。九州大学グローバル・ヘルスケア・チームは、今後もデジタルヘルス技術を活用し、保健医療アクセスが制限された地域において、母子に必要なケアの向上に取り組んでまいります。

関連リンク
現地医療従事者への研修の様子
PHCによる妊婦健診の様子