環境・食料ユニットでは、令和6年度第7回海洋プラスチック研究会を下記のとおり開催します。
本研究会は海洋プラスチック研究に関する情報交換を目的としたもので、学内の研究者や学生を主な対象としておりますが、参加者の紹介を得れば学外の方でも参加可能です。海洋プラスチックだけでなく、プラスチック廃棄物やバイオプラスチック生成などの分野の方、地球科学に興味のある方や高分子科学・環境毒性学からのアプローチに加えて、社会科学的観点から見た環境問題にも興味を持つ研究者など幅広い分野からの参加をお待ちしています。もちろん、興味があるだけ、話を聴きたいだけの方も歓迎します。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
<プログラム>
15:00~16:00
講師:勝見 尚也 准教授(石川県立大)
演題:農用地におけるマイクロプラスチックの発生と海域への移行
概要:
これまで農業生産現場ではビニールハウス、マルチフィルム、サイレージラップ、被覆肥料等といったプラスチック製の農業資材を使用することで、高品質な農作物の生産、農作業の省力化、環境負荷低減が達成されてきた。その中でも被覆肥料は作物の生育に合わせて肥料成分の溶出を適切にコントロールできることから、①追肥の省略による農作業の省力化に加え、②窒素の流出防止や亜酸化窒素の発生抑制など、農業生産の高度化に貢献してきた。その結果、そのニーズは毎年増加を続け、2018年には日本国内における年間生産量と輸入量の合計は13万トンを超えた。
一方、被覆肥料から肥料成分が溶出した後に発生するプラスチック製の被膜殻はその回収の困難さゆえに使用後は放置されるケースが多い。その結果、被膜殻が農用地のみならず、農業用水を介して海岸に到達していることが見出されてきた。これらの被膜殻は5 mmよりも小さいことからマイクロプラスチックに区分され、農用地が海洋マイクロプラスチックの発生源になっていると言える。そこで演者は、①水田における被膜殻の蓄積・変質・流出量の評価、②農業用水を介した海洋への移行プロセスの評価、③海域における被膜殻の実態調査を実施することにより、陸域から海洋へのマイクロプラスチックの移行挙動の理解と、陸域から海域へのマイクロプラスチックの排出抑制につながる新規知見の取得を目指し研究を行ってきた。本発表ではそれらの成果を紹介する。
16:00~16:40
講師:大嶋雄治 特任教授(九州大学)
演題:水生生物へのマイクロプラスチックの影響とその評価法の問題点(仮題)
16:40~17:00
自由討論
<世話人>
磯辺篤彦 応用力学研究所 教授(環境・食料ユニットサブリーダー)
高原淳 ネガティブエミッションテクノロジー研究センター 特任教授
大嶋雄治 農学研究院 特任教授
岡﨑裕典 理学研究院 教授
倉田哲也 未来社会デザイン統括本部 環境・食料ユニット 学術推進専門員